平家物語の系図:二十四人でたどる、平家が滅びるまでの五年

平家物語から二十四人を一枚の図に。清盛の一門、それを五年で滅ぼした源氏、両方に宣旨を出しつづけた法皇、そして壇ノ浦にただ一人残された人。

原典: 覚一本系の平家物語

平家物語の系図:二十四人でたどる、平家が滅びるまでの五年

平家物語は系図の話ではなく、系図が崩れる話です。武士でありながら太政大臣まで昇り、娘を天皇に入れ、孫を帝にした一門が、五年で海に沈む。図の上のほうに固まっているのが平家、右に散っているのが源氏、そのあいだに一人だけ、どちらにも宣旨を出しつづけた人がいます。線に書かれているのは「父」や「子」よりも、「幽閉した」「追われた」「討った」です。

この図でわかること

26
人数
46
関係
3
世代

図の読み方

カードが一人、カードのあいだの線が関係で、どれも押せます。色の帯は場所と立場を分けています——平家、源氏、六波羅、鎌倉、九郎判官、壇ノ浦、北条、法皇。先に形を見てください。平家は親子と兄弟で固まった一つの家、源氏は兄弟と従兄弟が離れて並ぶ一族です。そしてその差が、そのまま勝敗になります。

  • 清盛 平 (平家, 六波羅, 法皇)
  • 時子 平 (平家, 六波羅, 壇ノ浦)
  • 重盛 平 (平家, 六波羅)
  • 宗盛 平 (平家, 壇ノ浦)
  • 知盛 平 (平家, 壇ノ浦, 一ノ谷と屋島)
  • 維盛 平 (平家, 一ノ谷と屋島)
  • 敦盛 平 (平家, 一ノ谷と屋島)
  • 徳子 平 (平家, 六波羅, 壇ノ浦)
  • 安徳天皇 (平家, 壇ノ浦, 法皇)
  • 重衡 平 (平家, 一ノ谷と屋島)
  • 頼朝 源 (源氏, 鎌倉, 北条)
  • 義経 源 (源氏, 九郎判官, 一ノ谷と屋島, 壇ノ浦)
  • 範頼 源 (源氏, 鎌倉)
  • 義仲 源 (源氏, 木曾)
  • 巴御前 (木曾)
  • 弁慶 武蔵坊 (源氏, 九郎判官)
  • 政子 北条 (北条, 鎌倉)
  • 時政 北条 (北条, 鎌倉)
  • 後白河法皇 (法皇, 六波羅)
  • 与一 那須 (源氏, 一ノ谷と屋島)
  • 直実 熊谷 (源氏, 一ノ谷と屋島)
  • 祇王 (六波羅)
  • 仏御前 (六波羅)
  • 俊寛 (六波羅, 法皇)
  • (源氏, 鎌倉, 一ノ谷と屋島)
  • ce0bd3aa-2607-4e15-ab1e-74e8d97ce5fd は 範頼 源 の親です
  • ce0bd3aa-2607-4e15-ab1e-74e8d97ce5fd は 頼朝 源 の親です
  • ce0bd3aa-2607-4e15-ab1e-74e8d97ce5fd は 義経 源 の親です
  • 清盛 平 は 時子 平 の夫です (平家, 六波羅)
  • 清盛 平 は 重盛 平 の父です (平家, 六波羅)
  • 清盛 平 は 宗盛 平 の父です (平家)
  • 清盛 平 は 知盛 平 の父です (平家, 壇ノ浦)
  • 清盛 平 は 徳子 平 の父です (平家, 六波羅)
  • 清盛 平 は 重衡 平 の父です (平家)
  • 時子 平 は 徳子 平 の母です (平家, 壇ノ浦)
  • 重盛 平 は 維盛 平 の父です (平家, 一ノ谷と屋島)
  • 清盛 平 は 敦盛 平 の親族です (平家, 一ノ谷と屋島)
  • 徳子 平 は 安徳天皇 の母です (平家, 壇ノ浦, 法皇)
  • 後白河法皇 は 安徳天皇 の親族です (法皇, 壇ノ浦)
  • 清盛 平 — 法皇を幽閉した — 後白河法皇 (法皇, 六波羅)
  • 清盛 平 — 鬼界ヶ島に流した — 俊寛 (六波羅, 法皇)
  • 祇王 — 寵を失った白拍子 — 清盛 平 (六波羅)
  • 仏御前 — 祇王に代わって召された — 清盛 平 (六波羅)
  • 祇王 は 仏御前 の友人です (六波羅)
  • 宗盛 平 — 都落ちに伴った — 安徳天皇 (平家, 壇ノ浦)
  • 重衡 平 — 南都を焼き、鎌倉に送られた — 頼朝 源 (平家, 鎌倉)
  • 時子 平 — 壇ノ浦で抱いて入水した — 安徳天皇 (壇ノ浦)
  • dc4e0418-a6e2-5a6d-a4b2-c3d6ac82c6b2 は 範頼 源 の親です (源氏, 鎌倉, 一ノ谷と屋島)
  • dc4e0418-a6e2-5a6d-a4b2-c3d6ac82c6b2 は 頼朝 源 の親です (源氏, 鎌倉, 一ノ谷と屋島)
  • dc4e0418-a6e2-5a6d-a4b2-c3d6ac82c6b2 は 義経 源 の親です (源氏, 鎌倉, 一ノ谷と屋島)
  • 知盛 平 — 壇ノ浦で戦った — 義経 源 (壇ノ浦)
  • 徳子 平 — 大原で法皇を迎えた — 後白河法皇 (法皇, 壇ノ浦)
  • 義経 源 — 兄に追われた — 頼朝 源 (源氏, 九郎判官, 鎌倉)
  • 頼朝 源 は 政子 北条 の夫です (北条, 鎌倉)
  • 時政 北条 は 政子 北条 の父です (北条)
  • 時政 北条 — 見張り役から舅になった — 頼朝 源 (北条, 鎌倉)
  • 弁慶 武蔵坊 — 五条の橋で降参した家来 — 義経 源 (九郎判官, 源氏)
  • 義経 源 — 宇治川で討った — 義仲 源 (木曾, 源氏, 九郎判官)
  • 義仲 源 は 頼朝 源 の親族です (源氏, 木曾)
  • 巴御前 — 最後まで従った女武者 — 義仲 源 (木曾)
  • 義仲 源 — 法皇の御所を攻めた — 後白河法皇 (木曾, 法皇)
  • 義経 源 は 与一 那須 の統括しているです (一ノ谷と屋島, 九郎判官)
  • 与一 那須 — 屋島で扇の的を射た — 宗盛 平 (一ノ谷と屋島)
  • 直実 熊谷 — 一の谷で討った — 敦盛 平 (一ノ谷と屋島)
  • 義経 源 は 直実 熊谷 の統括しているです (一ノ谷と屋島, 源氏)
  • 維盛 平 は 重衡 平 の親族です (平家)
  • 頼朝 源 — 法皇から追討の宣旨を得た — 後白河法皇 (鎌倉, 法皇)
  • 重盛 平 — 父と法皇の間に立った — 後白河法皇 (六波羅, 法皇)
  • 維盛 平 — 富士川で戦わずに退いた — 頼朝 源 (平家, 源氏)
  • 知盛 平 は 維盛 平 の親族です (平家, 一ノ谷と屋島)
  • 俊寛 — 鹿ケ谷で法皇に近かった — 後白河法皇 (法皇)
操作できます。ドラッグして動かし、人物をクリックするとその人に寄ります。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
— 平家物語 巻第一

清盛の一門:頂点まで昇った家

清盛は物語の冒頭で名指しされる「驕れる人」で、熱病で死ぬまで誰にも止められませんでした。娘の徳子は帝の母となり、その子安徳天皇は二歳で位に即きます。つまり平家は、武力ではなく婚姻で天皇家に入り込んだ一門です。図の中央で線がいちばん密になっているのは、そこです。 止めていたのは長男の重盛でした。父と法皇のあいだに立ちつづけた人で、彼が生きているあいだ平家は踏みとどまり、彼が先に死んでから崩れはじめます。

清盛から帝まで、二つの線で

清盛 平清盛
→
時子 平時子
→
安徳天皇安徳天皇

平家

清盛 平
清盛
太政大臣
時子 平
時子
二位尼
重盛 平
重盛
内大臣
宗盛 平
宗盛
内大臣
知盛 平
知盛
新中納言
重衡 平
重衡
本三位中将

源氏:兄が戦わず、弟が戦い、そのあと弟が消される

頼朝は挙兵してから一度も自分で戦場に立たず、鎌倉から人を動かして平家を滅ぼし、そのあと弟たちも滅ぼしました。義経は一ノ谷の坂を駆け下り、屋島を突き、壇ノ浦で平家を沈めた人ですが、戦がうまいこと以外は何もうまくいかず、勝った翌年から兄に追われます。範頼は地味に本隊を率いて西へ進み、それでも最後は疑われて殺されます。 従兄弟の義仲は先に都へ入って平家を追い出し、都のやり方が分からずに嫌われ、法皇の御所を攻め、半年で同じ源氏に討たれました。図でいちばん短い線の一つが、義経から義仲への「宇治川で討った」です。源氏は平家より先に、源氏と戦っています。

鎌倉殿と九郎判官

頼朝 源

頼朝

鎌倉殿

生年: —
没年: —
出生地: —
結婚: 政子 北条
義経 源

義経

九郎判官

生年: —
没年: —
出生地: —
結婚: —

木曾と九郎判官のまわり

義仲 源
義仲
朝日将軍
巴御前
巴御前
女武者
弁慶 武蔵坊
弁慶
僧兵
範頼 源
範頼
三河守

法皇:誰の側にもつかずに残った人

後白河法皇は五代の天皇の上に立ちつづけ、清盛に幽閉され、義仲に御所を焼かれ、頼朝に追討の宣旨を出し、最後まで誰の側にもつかずに残りました。日本一の大天狗と呼ばれたのはこの人です。 図でこの人から出ている線を数えてみてください。平家、源氏、木曾、鎌倉——全部につながっています。この物語で最後まで立っていたのは、一度も戦わなかった人でした。

一ノ谷の渚:十六歳と、笛

一ノ谷と屋島

敦盛 平
敦盛
無官大夫
直実 熊谷
直実
武蔵の武士
維盛 平
維盛
三位中将
与一 那須
与一
弓の名手

屋島の扇:物語でいちばん静かな場面

那須与一は、沖に浮かんだ舟の扇を、二町ほど離れた馬上から射抜きました。当てなければ味方が終わると分かっている一射で、当たったあと敵味方の両方が声を上げます。戦の場面の中に、こういう一分間が挟まっている。それがこの物語が七百年読まれてきた理由です。

壇ノ浦:海の底の都

時子は八歳の孫を抱き、海の底にも都はございますと言って入水しました。知盛は「見るべきほどのことは見つ」と言い、碇を担いで海に入ります。三種の神器のうち、剣は上がりませんでした。 宗盛は入水しきれずに引き上げられ、鎌倉へ送られて斬られます。重衡は南都を焼いて東大寺の大仏を失わせた人で、一ノ谷で生け捕られ、最後は奈良に渡されて斬られました。負け方がそのまま評価になる物語で、知盛と宗盛の差はここです。

壇ノ浦のあと

健在

  • 徳子 平徳子 平
  • 後白河法皇後白河法皇
  • 頼朝 源頼朝 源
  • 義経 源義経 源
  • 政子 北条政子 北条
  • 時政 北条時政 北条
  • 巴御前巴御前
  • 直実 熊谷直実 熊谷
  • 与一 那須与一 那須
  • 祇王祇王
  • 仏御前仏御前
  • 弁慶 武蔵坊弁慶 武蔵坊

故人

  • 清盛 平清盛 平
  • 重盛 平重盛 平
  • 時子 平時子 平
  • 安徳天皇安徳天皇
  • 知盛 平知盛 平
  • 維盛 平維盛 平
  • 敦盛 平敦盛 平
  • 重衡 平重衡 平
  • 宗盛 平宗盛 平
  • 義仲 源義仲 源
  • 俊寛俊寛

ただ一人残された人

徳子は壇ノ浦で入水して引き上げられ、ただ一人生き残って大原の寂光院で尼になりました。出家してのちは建礼門院と呼ばれます——同じ一人で、名が変わっただけです。 物語の最後は戦ではなく、この人のところへ法皇が訪ねてくる場面で終わります。滅ぼした側の頂点が、滅びた側の生き残りに会いに行く。図の「大原で法皇を迎えた」という線が、平家物語の最終巻そのものです。

見張り役が、全部を持っていく

北条時政は伊豆で頼朝を見張る役でしたが、娘の政子が父に無断で流人と夫婦になってしまい、そのまま舅として挙兵に加わりました。平家を倒したあと、源氏から実権を取り上げるのはこの家です。 平家は婚姻で天皇家に入り、北条は婚姻で将軍家に入りました。図の上で同じ形の線が二度出てくる——これが平家物語の外にはみ出していく部分です。

戦がはじまる前に置かれた二つの話

祇王は清盛に寵愛された白拍子でしたが、仏御前が現れると屋敷を追われ、しかも新しい寵姫の前で舞えと呼び戻されます。仏御前は自分がしたことの意味を分かってしまい、寵を受けたまま屋敷を出て、祇王のいる庵に尼になって現れる。 俊寛は鹿ヶ谷で平家を倒す相談をしていて露見し、鬼界ヶ島に流されました。赦免の舟が来たとき、三人のうち彼だけ名が読み上げられませんでした。どちらも戦の前の話で、どちらも平家がどういう家かを先に見せるために置かれています。

語り本と読み本

語り本(覚一本)

琵琶法師が語るための本で、十二巻に灌頂巻が付きます。建礼門院が大原で法皇に会う最後の巻はここにしかなく、この図の終わり方もそれに合わせています。

読み本(延慶本など)

読むための系統は巻数も挿話も違い、語り本にない話が入り、語り本にある話が落ちます。つまり「平家物語には何が書いてあるか」という問いの答えは本によって変わります。この図は語り本系の一本に沿って描いた、と最初に言っておくべき理由がそれです。

図にいない人たち

以仁王と頼政、木曾の四天王、梶原景時、静御前、そして名前が一度だけ出てくる数十人の武者はここにいません。二十四枚は、物語が何度も戻ってくる人で選んでいます——清盛の家、頼朝の兄弟、法皇、一ノ谷と屋島、壇ノ浦。百枚の図は誰も読みません。

よくある質問

平家物語とはどんな作品ですか。
平氏の栄華と滅亡を語る軍記物語で、琵琶法師が語り継ぎました。
平清盛とは誰ですか。
平氏を頂点へ導いた棟梁で、娘を天皇家に嫁がせ、孫を安徳天皇として即位させました。
平氏と源氏の関係は。
どちらも天皇家から分かれた家で、同じ血筋の遠い親戚どうしが争いました。
安徳天皇は誰の孫ですか。
平清盛の孫にあたり、壇ノ浦で幼くして入水しました。
源義経と源頼朝の関係は。
異母兄弟です。義経は兄に追われて奥州で死にました。
壇ノ浦の戦いはいつですか。
1185年。平氏はここで滅び、三種の神器の一つが失われました。
建礼門院とは誰ですか。
清盛の娘徳子で、安徳天皇の母。壇ノ浦から生き残り、大原で出家しました。
「祇園精舎の鐘の声」とは。
冒頭の一節で、諸行無常という物語全体の主題を告げています。
平家物語は史実ですか。
骨組みは史実ですが、語り物として脚色が重ねられています。
平家の子孫は残っていますか。
各地に落人伝説があり、平姓を名乗る家も多くありますが、系図の多くは後世のものです。

書いた人について

Alireza Nasiri
Alireza Nasiri

Alireza Nasiri writes the family trees and story maps on the SeeWider blog, tracing who is related to whom in the books, dynasties and legends behind them.

← すべての記事